長江デルタの一体化発展について
長江デルタ(上海市・江蘇省・浙江省の長江下流域の16市からなる)の一体化発展は国家戦略の一つであり、長江経済帯の経済成長に対してさまざまな牽引の役割をする。
長江デルタ地帯の三省一市(江蘇省、浙江省、安徽省、上海市)は交通、産業、科学技術、環境保護などで幅広く協力を展開し、地元の住民の幸福感を向上させている。
○コミュニティでの介護においては、地域内の高齢者介護サービス施設の建設、介護資源の整理統合、介護サービス情報のプラットフォーム建設などを含む措置を講じている。
○食品安全の分野では、トレーサビリティ情報プラットフォームと食品関連情報の検索・検証システムを構築する。
○また求職経験交流会と就職セミナーを行い、各分野の人材交流・育成を強化する。
2030年までに長江デルタ都市群を建設、世界的な影響力を備えた世界レベルの都市群を完成させるという壮大な計画が打ち出されている。その上、上海は2035年までに世界的にすぐれた都市に発展することを目指している。
上海には上の目標を実現するための有利な条件が備わっている。
○長江デルタ地帯の面積は、中国の約26分の1しかないが、経済の総量が中国経済全体に占める割合は4分の1にまで達している。それは上海の地理的優勢である。
○上海には医療、教育、文化などのサービスが完備している。
○現在、上海で仕事をしている外国人は20万人を上回り、全国の4分の1に達している。その上、上海で設立された外資系企業は、7万社余りに上がり、それらの納税総額は上海の税収総額の3割近くを占め、さらに上海の工業生産高と輸出入総額への貢献度はどちらも3分の2に達している。
上海の五つのセンターの建設も国家戦略の一つであり、長江デルタ都市群の建設とは互いに補完し合うものである。
○貿易センターの建設:上海には鋼鉄など大口商品の取引プラットフォームが多く築き上げられている。これによって、より強い価格決定権と発言権を持つようになるだけではなく、集中的な仕入れによって、長江デルタの企業の貿易コストを大幅に削減することもできるようになる。
○水上運輸センターの建設:港湾の建設では、三省(江蘇省、浙江省、安徽省)が各自の優勢を生かした相互補完を実現させる。国際中継中枢港の共同建設はその一例である。
○科学センターの建設:上海の科学革新センターと安徽省の科学装置センターという二大科学センターは、機能の上で互いに補完し合い、生命科学、エネルギーなど人類発展と密接に関わる分野で協力し合っている。
上海は、科学設備においても著しく発展してきた。
○硬エックス線自由電子レーザー装置の開発はすでに始まっており、このプロジェクトには100億元(約1721億円)ほどの工事費がつぎ込まれ、国内で投資規模が最も大きい研究設備となる。
○国家量子実験室の上海支部は、量子通信、量子計算など大規模な科学計画の実施に専念する。
○浦東に位置する張江実験室は国家レベルの実験室に向かって発展している。その発展計画の一つとして、脳組織のマルチスケール構造、及びそのさまざまな認知機能との関連性や、人類の行為の認知メカニズムを研究し、脳マップの作成に全力で取り組んでいる。
第1回中国国際輸入博覧会
上海は今年11月、第1回中国国際輸入博覧会を開催して、長江デルタ全体の経済実力と購買力を示し、長江デルタの企業に商機をもたらすことを目指す。その上、同博覧会がきっかけで、上海で品質が高く価格の安い輸入商品を購入できるようになるだろう。