上海自由貿易区はビジネス環境を最適化し、より高いレベルの制度型開放を促進
近日開催された2024年中国国際コーティング展示会(CHINACOAT)にて、国際塗料大手の日本ペイントは、華東理工大学および華東師範大学と共同で設立した、効率的な都市大気汚染の整備ソリューション開発に特化している「光触媒浄化コーティング技術イノベーションプラットフォーム」を展示した。また同月、日本ペイントは上海自由貿易区にアジア太平洋地域最大の研究開発イノベーションセンターを定礎し、日本ペイントのグローバル研究開発・製造システムの重要な構成部分となった。
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議では、「市場化・法治化・国際化した一流のビジネス環境を作る」と表明した。上海自由貿易試験区は展開要件を全面的に履行し、高いレベルの制度開放による徹底した改革と質の高い発展を推進し、改革開放の「試験畑」と「先駆け」としての重要な任務を担っている。そして、より多くの外国投資企業が「中国で世界のために」活動することを促進する。
(写真・WeChat公式アカウント「上海自由貿易試験区」)
自由貿易区で深耕する
日本ペイント中国のブランド広報センターの蔡志偉総裁はインタビューで、「日本ペイントは1990年代に中国に進出して以来、従業員数は100人未満から現在の約1万人にまで成長し、同社は上海で16の関連会社を設立・運営している。特に上海自由貿易区の設立以来、資本や人材などの一連の制度革新の恩恵を受け、中国への投資を継続的に増加させ、製品のイノベーションと研究開発を上海自由貿易区で実践してきた」と述べた。
建設が始まったばかりの日本ペイントイノベーションセンターは、日本ペイント中国本社から約15キロメートル離れた上海自由貿易区の金橋地区に位置し、車でわずか30分の距離にあり、2026年までに完成する予定。今後、当センターは中国およびアジア太平洋地域における日本ペイントの製品研究開発および製品応用研究を担い、市場の流行に合わせたカラーコーディネートやシナリオ別のソリューションを押し出し続け、中国および海外市場のニーズに応える。また、日本ペイント中国の新本社ビルも浦東に建設された。
上海自由貿易区への進出を選択した理由について、「金融、科学技術、産業発展における自由貿易区の制度的優位性により、日本ペイントは中国市場での広い発展空間を得ることができた」と述べた。蔡志偉氏は、シンガポールに本社を置く多国籍企業にとって、上海自由貿易区によって開始された自由貿易口座システムは、企業の国境を越えた資金調達に大きな利便性をもたらしていると示した。
協同イノベーションも日本ペイントが上海自由貿易区へ進出したもう一つの理由だ。近年、日本ペイント中国は継続的に「友人の輪」を刷新、拡大し続け、BASF、コベストロ、ダウ・ケミカルなど自由貿易区に根ざしているその他の外資系企業と多数の革新的なイノベーション提携を行い、産業の高度化と発展を共同で推進している。同時に、「海外進出」は近年中国企業にとって重要な戦略となっており、日本ペイントは自社の国際的な提携力を活かして親会社の海外事業市場と積極的に連携し、中国の自動車部品メーカーCITICディキャスタルのメキシコ参入、長安汽車のタイ市場参入を支援し、経済のグローバル化プロセスを加速させている。
高度なイノベーション
データによると、浦東新区、さらに上海全体として国内で外資系研究開発センターが最も集中している地域の一つであり、イノベーションの割合は増え続けている。昨年末まで、上海の外資系研究開発センターの総数は561カ所に達し、そのうち264カ所が浦東新区に位置している。
日本ペイント中国のように上海自由貿易区に拠点を置き、市場開拓している外資系企業が多数存在している。昨年、ロシュ社が世界初の独立して設立・運営するアクセラレーターが張江で稼働を開始した。ロシュ・チャイナ・アクセラレーターの責任者である唐秋嵩博士は、浦東の第一期大企業オープンイノベーションセンター計画の企業メンバーの一つとして、今年の6月時点で、20社近くの地元新興企業がアクセラレーターに加入したと述べた。うち、既存のメンバー企業では10項目以上、ロシュ・チャイナ・イノベーションセンターと初期段階の研究開発協力を提携している。
「私たちは、上海自由貿易区と張江科学城における制度的イノベーションの相乗効果の優位性を利用して、全国さらには世界中の新興企業や科学者がロシュを夢の出発点として利用できるように、彼らのイノベーションの成果をロシュの国際的なビジョンとプラットフォーム、及びリソースと完璧に統合することを支援したいと考えている」と唐秋嵩氏は述べた。
(写真・WeChat公式アカウント「上海自由貿易試験区」)
新しい道を切り開く勇気を持つ
上海自由貿易区はその「誕生」以来、国家制度の試行と新たな道を模索するという重要な任務を担ってきた。中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議で、「国際的な高水準の経済・貿易ルールに積極的に整合」し、ハイレベルの開放による徹底した改革を推進することを提案した。
今年1月に発表された「浦東新区総合改革試行実施案(2023~2027年)」では、双方向の金融開放を推進し、資本勘定の交換を実現するための道を探求し、金融促進して科学技術イノベーションを支援し、グローバルな資産管理パートナーシップ計画を実施すると明記されている。今年3月には「上海外資系R&Dセンターのアップグレード計画」が発表され、外資系R&Dセンターの研究開発への投資増加支援から、外資系R&Dセンターのオープンイノベーション強化の奨励、研究開発用物資の通関・監督プロセスの最適化、外資系R&Dセンターのサービス保証強化などの分野が含まれ、外資系R&Dセンターの入居と運営を全面的に支援し、自由貿易試験区の機能的な連携に対する具体的な新たな措置が提案された。
最近発表された上海自由貿易区リンケージイノベーション区の建設計画について、蔡志偉氏は、これは上海の対外開放深化の新たな段階を示すものであると考え、自由貿易区の金融サービス、人材採用、技術研究開発、知的財産保護などにおける更なる措置で上海、さらには中国全体の発展に活力が注がれることを期待していると述べた。日本ペイント中国は今年初めてCIIEに参加し、中国市場へのハイレベルな溶け込みと確固たる自信を行動で示す。