上海自由貿易区の77の試行措置が全国展開へ
7月、中国国務院は「自由貿易試験区における国際高水準の経済貿易ルールとの全面的な整合および高水準の制度型開放試行措置の複製・普及推進の取組に関する通知」を発表し、上海自貿試験区の77項目の試行措置を複製・普及させ、より広範な範囲で制度革新の成果をシェアする。
(写真・ 上海自由貿易試験区)
上海自由貿易試験区は制度を試行し、新しい道を探り続け、「0から1」の制度的突破を模索し、制度型開放を着実に拡大するための「自由貿易区経験」を提供している。
監督管理モデルの革新、ハブ港の建設
上海南港埠頭では、自動車運搬船が安定して接岸し、輸出予定の電気自動車が「径予放行(直接通過)」モデル(通関に際する証明書の提出や検査が不要な貨物に対し、「一線」を通過することが認められ、企業が貨物を直接受領・出荷することが可能となる)で秩序よく船倉に積み込まれていた。同モデルでは、企業は通関申告を行う必要がなく、「径予放行」の自主申告書を作成するだけで貨物が直接に洋山特殊総合保税区を出入りでき、通関効率が大幅に向上する。
グローバルな輸送ハブの構築を目指し、上海自由貿易試験区は国際中継・LCL輸送モデルを最適化し、海外出荷・洋山中継・第三国仕向けの貨物について検査を免除し、全体の作業時間は50%削減され、洋山港の国際中継・LCL輸送貨物の比率は12.6%から18.6%に上昇し、世界のコンテナ港湾パフォーマンスランキングで首位へと躍進した。
取引プラットフォームの整備、データ流動の促進
データの越境移動の促進と規範化、デジタル技術の活用の推進、データの開放・共有の拡大……上海は高水準のデジタル貿易規則を率先して試行している。
上海データ取引所は、越境データ取引の制度体系の構築、内生的な信頼性ある取引枠組みの整備、データ取引所規則体系の発表などを通じて、データ取引の「骨格」を築き上げてきた。今年上半期、同取引所の取引額は300億元を超え、前年同期比50%以上増加した。
国際標準との整合、金融開放の拡大
全国初の外資持株合弁資産運用会社や、初の外資独資の公募ファンドを設立し、国際石油ガス取引センターを建設し、初の国際原油越境デジタル人民元決済を実現させ、さらに、非居住者(中国国内で住所がなく、居住歴がないか1納税年度内に中国国内での累計居住日数が183日未満の人)によるM&Aローン規制緩和の試行を探索するなど、上海自由貿易試験区は金融開放分野で数々の「初」を実現してきた。
それらの「初」の後には、さらに広く、深く、優れた革新探索が続いている。多国籍企業の越境資金プールの最適化、決済サービスの国際化の推進、自由貿易口座システムの機能向上などである。
(写真・ 上海自由貿易試験区)
上海自由貿易試験区という制度革新の「試験畑」を活用し、アントインターナショナルは支付宝(アリペイ)の「海外カードの国内登録」および「海外ウォレットの国内利用」という2つの利便サービスを打ち出した。アプリをダウンロードして複数の海外銀行カードを登録したり、海外電子ウォレットを使って中国で直接QRコード決済できたりするようになり、訪中外国人観光客の消費利便性は一層向上した。
中国商務部自由貿易区港建設協調司の孟華婷司長は、「商務部は関連部門と連携し、各地域が戦略的な位置づけ、産業優位性や基盤条件に基づき、地域の実情に応じた複製・普及を積極的に進めることを支援する。特に企業や国民が切実に必要としている試行措置を、できるだけ早く着実に実現していく」と述べた。
出典:人民日報