上海自由貿易試験区連動イノベーション区が大幅に拡大
10月15日、「第2陣上海自由貿易試験区連動イノベーション区建設方案」(以下、「方案」)が正式に発表された。

(写真・澎湃新聞)
同方案には、「2つのリスト」に分かれた計86項目の改革タスク措置が盛り込まれており、内容は非常に充実している。一方では、外資系独資病院の設立やデータの越境流通への支援など、一連の制度改革成果の普及・拡大が含まれている。これらの政策は、自由貿易試験区や浦東先導区などでまとめられた再現・拡大可能な改革成果を基礎とするとともに、企業からの実際の要望も反映している。
他方で、方案では、虹橋国際中央商務区、静安区、長寧区、普陀区など8つの重点地域と、5つの国家級経済技術開発区を新たに第2弾の連動イノベーション区として追加し、より幅広い産業形態・経済分野で改革の試行を進めていく方針を示している。
1年前の2024年8月、上海自由貿易試験区は第1弾の連動イノベーション区を立ち上げ、黄浦区、徐匯区など6区の重点地域や、自由貿易試験区外に位置する松江、漕河涇、奉賢、金橋など6つの総合保税区を対象とした。連動イノベーション区の設置は、自由貿易試験区の範囲外においても制度改革の成果を広く波及させることを目的にしている。

(写真・澎湃新聞)
現在、上海自由貿易試験区の制度的メリットは、より広い範囲で発揮され始めている。
今回の第2弾方案の大きな特徴の1つは、制度改革の成果をより的確かつ効果的に普及させる点である。例えば、専門サービス業における外資参入規制の緩和、外資系独資病院設立への支援、国際医療機関による合弁あるいは協力の形での医療機関設立への支援などが明記されている。
方案のもう一つの特徴は、企業の課題に直接応えることである。近年、多くの多国籍企業や海外進出企業がデータの越境流通に対する強いニーズを示している。現在、自由貿易試験区内では、一部企業がネガティブリスト方式を採用し、審査や届出を免除することでデータ越境流通の効率を高め、コンプライアンスコストを削減しているが、自由貿易試験区外の企業はこの政策の恩恵を受けることができなかった。
今回の方案では、この企業の要望に応え、上海自由貿易試験区の全ての連動イノベーション区において、関連企業がデータ越境流通の便宜措置を適用でき、金融機関は監督当局が認めた日常業務に必要なデータを海外に送信できるようになることが明示されている。さらに研究データの取引・流通、越境転送、安全保護などに関する制度・基準の構築を模索することも盛り込まれている。
総じてみると、今回の方案は、先駆的な改革の深化、先導的な開放政策の普及・拡大を着実に進め、自由貿易試験区の制度改革成果がより広い範囲で普及し、各連動イノベーション区がそれぞれの地域特性に応じた新しい産業形態を形成できるように、一連の効果的かつ的確な政策措置を打ち出し、制度改革の効果をさらに広範囲に発揮させる見込み。
出典:澎湃新聞