多国籍企業の浦東への投資が継続拡大 ローカルイノベーション創出を加速
多国籍企業の地域統括本部や研究開発センターが最も集積する地域の一つである浦東新区は、ハイレベルな制度型開放を通じてグローバル企業にとって最も魅力ある投資先づくりを推進している。
このほど、多国籍企業ABBの船舶推進事業とインフィニオン・テクノロジーズは、相次いで浦東で現地化戦略を推進している。両社は、投資拡大、現地サプライチェーンの整備、協同イノベーションの強化を通じて、中国での事業をさらに拡大している。

(写真提供・WeChat公式アカウント「中国上海自貿試験区」)
「世界最大の造船国である中国は、当社の重点市場です。中国の船舶市場が急速に成長するなか、当社は現地での納入能力を絶えず高めています。納期は5年前と比べて、ほぼ半分に短縮されました」と、ABB船舶推進事業の中国地区責任者、婁以良氏は述べた。
ABBのAzipod®ポッド型電気推進システム上海工場は、2011年操業開始以来、累計250基以上のポッド推進機を納入した。大型クルーズ船、海洋調査船、砕氷船などの高性能船舶に採用されているほか、中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都」号と2隻目となる「愛達・花城」号の建造にも携わっている。
約15年間の運営と発展を経て、ABB上海工場は工程設計、サプライチェーンマネジメント、生産、サービスなどの各プロセスで全面的な現地化を実現した。工場の運営・管理も現地採用人材が担当している。年間約60基の安定した生産能力を有し、多くの重要部品を現地サプライヤーから調達することにより、納入効率も大幅に向上した。
また、船舶産業のグリーン・低炭素化に向け、ABB中国チームは現地での研究開発を継続している。サプライチェーン全体の国産化を実現したAzipod®ポッド型電気推進システムは、従来型の軸系推進システムと比べ、燃料消費量を最大約20%削減できる。ABBの船舶事業中国チームはさらに、船舶のライフサイクル全体を対象としたデジタルソリューションを活用し、船舶産業の電動化、自動化、デジタル化を推進している。
一方、インフィニオン・テクノロジーズの「イノベーションスペース」はこのほど、浦東で正式に運用が開始された。今後、イノベーションに関する交流、共同開発、産業技術の普及などの役割を果たす。
インフィニオン・テクノロジーズのシニア・バイスプレジデント兼中華圏総裁である潘大偉氏は、「中国は我々のグローバル事業展開における重要な市場です」と述べた。イノベーションスペースの運用開始後、同社は地域のイノベーションシステムを活用し、中国における産業チェーン全体の展開をさらに深化させていくという。
2025年、同社は浦東・張江で「In China,For China(中国で、中国のために)」という現地化戦略を発表し、2026年から本格的に推進している。現地生産、イノベーション創出、エコシステム、運営という4つのコアコンピテンスを軸に、プロダクトミックスの現地化を加速させ、新製品の導入、供給体制の強化、顧客対応の効率向上を進めている。
現地での研究開発と顧客ニーズに応じたカスタマイズサービスを強化することで、インフィニオンは一部の顧客では、製品の概念設計から納入までの期間を30~40%短縮した。同社の財務報告によると、世界売上に占める中華圏の割合は、2024会計年度の34%から2025会計年度には38%へ上昇した。潘氏は、中国は電動モビリティ、ソフトウェア定義型車両(SDV)、エネルギーインフラ、ロボットなどの分野で高い競争力を持っており、企業がローカルイノベーション事業に取り組むための幅広い可能性を提供していると述べた。
また、浦東にある同社の中国配送センターの機能強化も進めらている。同センターは2027年8月に運営開始を予定しており、完成後、インフィニオンの完成品配送センターとして、世界最大の建築面積を誇る拠点となる。新センターには、グリーンインフラ、スマート倉庫、デジタル運営システムが導入されるほか、浦東国際空港や総合保税区の立地・政策面での優位性を生かし、グローバル調達・供給の効率化を図る。

イメージ図(写真提供・WeChat公式アカウント「中国上海自貿試験区」)
製品供給から研究開発・イノベーション創出、さらには物流・サプライチェーン体制の構築に至るまで、多国籍企業による浦東への投資は拡大し続いている。これは、各社の中国事業が、「中国で生産する」段階から「中国でイノベーションを創出し、世界へサービスを提供する」段階へと移行していることを示している。浦東の産業集積、対外開放政策、国際ハブとしての機能も、多国籍企業による現地展開のさらなる深化を力強く支えている。
出典:EYE浦東、WeChat公式アカウント「中国上海自貿試験区」