上海浦東、世界中の資源を配置するハブへ
1990年、不況に立ち向かった上海は浦東新区の開発と開放に着手した。それ以来29年にわたって、浦東は著しく変貌した。現在の浦東では、グローバル市場で活躍する国際組織・機構や世界中にビジネスを展開する多国籍企業などが数多く集まっているという。
世界へ向かう浦東
今のところ、13か所の国家級金融要素市場と金融インフラを構える浦東は、海外取引で最も活力のある地域の一つとして、金融分野における中国の声を全世界に届けた。
一例を挙げると、中国初の国際的な先物として、浦東の原油先物が上場してから一年間だけで、取引の規模で世界3位に上がり、世界中の投資者に広く認められ、売上高は17.12兆元(1元は約16.7円)まで至った。そのほか、上海黄金取引所国際ボードや再保険(Reinsurance)などの金融要素市場も、浦東に誕生し、世界へ向かっている。
原油先物が上場
「引進来(インジンライ、海外投資を導入すること)」と「走出去(ゾウチュチィ、海外進出を目指すこと)」
浦東は上海のビジネス環境を最適化するため、様々な改革を実施した。それに伴い、グローバル機能性組織や機構が次々とやってきた。今回、世界最大の国際海運組織であるバルチック国際海運協議会(BIMCO)は再び浦東でメンバー会議を設けた(BIMCOは 2013年に初めて浦東に進出し、2016年に初めて浦東でメンバー会議を開催した)。BIMCOのほか、バルチック海運取引所やアジア船級協会連合(ASC)、アジア海事技術連携センター(MTCC Asia)などの国際海運機構も浦東で新たな一歩を踏み出したという。
浦東は海運資源を重視している
海運資源を力強く導入した一方、浦東は世界金融センターである上海の核心エリアとして世界中の資源を配置するハブになりつつある。浦東の新開発銀行(NDB)は、ブラジルの都市発展と環境保護、ロシヤの歴史町再開発、インドの道路建設などの案件を抱え、世界中で活躍している。
世界を席巻するサービス
浦東で本部を設立した企業は昨年現在、既に600社余りあった。うち、多国籍企業は304社で、企業全体の50%以上を占めていた。これらの多国籍企業は、浦東で製品や技術を開発し、商品と経験を全世界に広げた。
例えば最近、ナイジェリアのラゴス港は二台の大型掘削機を迎えた。点検後、この二台の機械はZungeru水力発電所に向かい、中国水利八局の建設工事に強力なサポートを提供しようとしていた。なぜその話をするのか。この取引の特殊性は、全プロセスでこの機械は中国の土地に一度も踏み込んだことがないということにある。ボルボ中国本部から掘削機の発注を受けた韓国の工場がその生産をし、完成品はアフリカに運搬する。ボルボ中国本部は「オフショ貿易」と呼ばれるこのモデルの優位性を活かし、効率を高めたほか、確かな利益も得た。ボルボ中国の副総裁である詹旭氏は、2019年に上海での越境精算が全面的に実現できたら、ボルボ中国の越境貿易額は20億元以上に達する、と大きな期待を寄せた。
今後、浦東は引き続き積極的に外資関係の案件を推進し、「オフショ貿易」、「サービス貿易」などの革新的なパターンを拡大し、「五つのセンター(経済、金融、貿易、海運、科学技術の革新)」としての役割を果たして世界中の資源を配置する能力を向上させていくという。